ケーキを切れない非行少年たち
『ケーキを切れない非行少年たち』
宮口幸治著
今回はこの本をレビュ―?シェアしていきたいと思います。
著者の宮口幸治さんはもともと、児童精神科医で病院で勤務していましたが
最後の砦に思われている病院ですら、発達障害や知的障害の子供たちにしてあげられることは、アセスメントをして、診断を出し、薬を出してあげることだけで、病院での治療の限界を感じていました。
犯行に至った背景や問題点はよくわかるが支援方法は皆目見当がつかない状態だったのです。
性の問題行動を起こした発達障害を持つ少年との出会いが、著者の人生の方向を変えたと語っています。
こうして、著者は発達障害や知的障害を持ち非行を行った少年たちが集められる施設があることを知り、病院を辞め、医療少年院に赴任します。
「効率精神科病院で児童精神科医として勤めていた私は、児童・少年のことは一通りわかったつもりになっていましたが、少年院に来てみて実はまだ殆ど何も知らなかったことに気づきました。」と語っています。
少年院の中で一番手のかかる少年と面接した際に、驚くことに気づきます。
社会で暴行・傷害事件を起こし、少年院の中でも粗暴行為を繰り返す少年に、
Rey複雑図形の模写という課題をやってもらいました。
「これを見た時のショックはいまだに忘れられません」
これは"世の中のこと全てが歪んで見えている可能性がある"ことを示唆するものだったからです。
更生のためには、自分のやったことを理解ししっかりと向き合い、被害者の気持ちも考えて内省することが必要ですが、
見る力・聞く力が弱ければ、できるはずがありません。
反省以前の問題なのだと、、、
ほかの少年たちにも
- 簡単な足し算引き算ができない
- 漢字が読めない
- 簡単な図形を写せない
- 短い文章すら復唱できない